序章

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「甲賀 雅(コウガ ミヤビ)です。よろしくお願いします」 短い自己紹介だが、その容姿のおかげでクラス内は凄まじい盛り上がりを見せている。 クールで通ってる俺でさえもその衝撃で気を失わないようにしているので精一杯だ。 想像して欲しい、今朝自分の部屋の窓に貼り付いていた女の子が転校生だったというシチュエーションを。 …あっ、ちょっと漏らした 「ええっと甲賀さんの席は…あっ翔くん、そこが甲賀さんの席で翔くんは一つ前の席だよって吉見さんも前に移動してね」 なん…だ……と!? ここ数時間、緩みっぱなしの尿道から放たれた数滴の聖水が辺りを清めているのに、そこに強大な正体不明の魔物を座らされるとなると、どんな化学反応を起こすかわからなくてとても危険じゃないか。 いくら将来の嫁のヨーコ先生の頼みでもそれは出来ないぜ。 あくまで、平然を保って断ろう。いつもの俺を演じればいい。 「えー、ヨーコ先生。ぼくこの席がいいです。なぜなら一番後ろで尚且つ端っこで、授業中寝ててもスルーされるポジションじゃないですからー。ぼくはこのポジションがいいです。ボランチとか左サイドはいやです。アジア杯でMVPとったじゃないですかー。シンジ君より適正ありますよー。ぼく両腕に腕時計「はやく移動しなさい本田圭○くん」 さすが未来の俺の嫁。 俺の時間稼ぎに付き合ってくれるなんて感謝感激雨霰だ。 おかげでなんとか新陳代謝が活発です程度の言い訳ですみそうだ。
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