序章

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◇◆◇◆◇◆◇ 康太が帰ってこないまま式は終わって教室に戻ったが、未だに康太は帰ってこない。 あいつ…ほとんど必要ないのに必要なときに居ないなんて後で茜を通じて昼飯を奢らせてやる。 しかし… 周りを見渡しても知らない人ばかりだ。さらに俺は名字が和田でこのクラスの出席番号最後だから席が端っこだ。茜とも康太とも席は離れているから、今このヨーコ先生を待つ時間を有効活用して友達を作ろうかな。 けども、どこもかしこも複数人のグループを構成していて、なんか俺の入る場所なんて存在しないようだ。茜だって女子数人と仲良く喋っている。 だから俺みたいなどのグループにも馴染めていないような人で尚且つ俺と席が近い人は……なんだすぐそばに2人もいるじゃないか。 1人は俺の前の席のパツキンの女の子。耳にピアスをこれでもかというほどつけていて、いかにも私不良ですけど、みたいなオーラが出ているちょっと危険な香りが漂う。 うーん…俺のレベルではまだ友達にはなれないなぁ、ちょっと難易度高い。 そしてもう1人は俺の隣の席で背筋をピンと伸ばし、両手で文庫本を持って読書に耽ってる三つ編みメガネの女の子。 なんかいじめの対象になりやすそうな外見で、ひょっとしたら今現在、俺の前の席のパツキンにいじめられてんじゃないかと思ってしまう。 決めた。こっちにしよう。 うーん…やっぱりファーストインプレッションは重要だよな。 声をかけるなら爽やかな笑顔と相手に嫌な気持ちを抱かせないようにする気遣いと、相手の興味のある話題から入るのが定石か。 なんだ結構簡単なことじゃないか。さっそく声をかけるか。
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