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『しょうがないなぁ。』
楓ちゃんの妥協により部屋には困らなくなった。
しばらく雑談していると曜子さんが買い物に行くと言いながら席を立ったので僕も行きたいと言ったら、
『私も行きたいです~』
『俺もついてく。』
『私も行きたい~』
と、3人が見事にハモっていた。
麻美ちゃんは何故か部屋を出て行ってしまった。
すると曜子さんが振り向いた。
『桜と遥は宿題があるでしょ、春休みに翔君と遊びたいなら終わらせてしまいなさい。楓は翔君が部屋に来るならそれなりにやることがあるでしょ?』
母は強し。3人は返事をしながら部屋を出て行った。
『では翔君。行きましょ。』
曜子さんは少しウキウキしているようだった。
(イケメンの息子を持つって大変なのね。)
『はい。』
外に出ると綺麗な夕日が見えた。玄関の近くの花壇にあるテーブルに座り花を眺めている麻美ちゃんはとても絵になっていた。
僕が少し見とれていると、麻美ちゃんが気づいたみたいで声を掛けてくれた。
『翔さん。こちらへどうぞ。』
麻美ちゃんに示された椅子に座るとクッキーを出された。
『お口に合いましたらどうぞ。』
『いただきます。』
クッキーを食べてると、コンパクトカーに乗った曜子さんが門の前に現れた。
『翔君。乗って~。』
僕が立ち上がると、麻美ちゃんも立ち上がり僕を呼んだ。
『私もご一緒してもよろしいでしょか?』
『2人だけの秘密だよ。』
僕はそう言って麻美ちゃんの手を取り歩き始めた。
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