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じたばたする揚羽に尾塩はすまなそうにする。
「すまん、揚羽。わし、どうしてもお前様に王様になって欲しいんじゃ。」
しゅんとする尾塩に、逆に揚羽が申し訳なくなった。
自分のために頑張ってくれた臣下たちに頭をさげるべきなのだと理解すると、抵抗をやめ、後宮の一室のドアを開いた。
そこには大きな鏡があった。
「こちらからは見えますが、あちらからは見えません。」
北辰が述べると、揚羽はふむと言って、顔をしかめた。
イスに腰掛け、官ガンから渡される飲み物を口に運び、北辰に甘ったるく笑う。
「よくもまぁ、集めたな。」
そして、急に厳しい表情になった。
「国の子宮…か。」
口元に扇をあて、揚羽は目を落とす。
それをみて北辰は尾塩に目で合図する。
尾塩ははっとして、揚羽の肩をたたく。
「揚羽にはわしらがおる。必ず、お前様を…王に。」
すると揚羽はほほえんだ。
「ありがとう、尾塩、北辰。」
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