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夏海は、士が撮った写真を眺めていた。士が、夏海の前から消えて四ヶ月立っても、『居ない』という生活に慣れなかった。
「あちゃー、また四人分のコーヒー煎れちゃったよ…」
台所で、栄次郎が残念そうに声を上げる。栄次郎もまた、この生活に慣れてなかった。
夏海は、栄次郎に近づいてマグカップに入ったコーヒーを捨てると、士とユウスケのマグカップを居間に持ってきた。
「捨てましょう、全部。」
そういうと、紙袋を用意してごっそりと写真を詰め込んだ。
「こんなのがあるから…、考えたりするんです。」
「夏海…」
栄次郎は戸惑ったが、それ以上は言えなかった。
それが、夏海の決意だからだ。
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