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ドアがガチャと開くと、夏海は顔を上げた。
「本当に進歩無いね、君達は。」
そういうと、士がいつも座っていた椅子に座った。
「海東さん…。海東さんは区切り付けたんですか?」
「もう…忘れたよ。士の事…、小野寺君の事もね。マスター、コーヒー。」
そう奥にいる栄次郎に言うと、
「あのね、ここは喫茶店でも無いし、マスターでも無いの!」
そう言いながら、栄次郎は台所掃除を始めた。海東は、それを鼻で笑うと置かれてる写真を見た。
「士君…、どこにいるんでしょう…」
海東は、顔を背景ロールに向け、「まだ、あそこさ」と言った。
夏海が、目をやった背景ロールには次々と融合される世界の姿が、そこにあった。
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