#1・歩く事を忘れた人類

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今時、玄関の扉が自動なのは、うちのアパートぐらいじゃないだろうか?最近ではどこもかしこも、バリアドアを導入している。 バリアドアは光の壁でできていて、人が近付くと光の壁が消え中に入れるのだ。もちろん、DNA認証システムを使用しているので、自分以外の人が入る事はできない仕様になっている。 光の壁だから、外から丸見えなんじゃないかと思われがちだが、そんな事はなく、外からは普通の扉のように見えるのだ。逆に中からは、外の状況がわかるようにもできる。 僕はいい加減、バリアドアのあるアパートに引っ越したかった。そんな事を考えていると、突然頭の中に声が響いた。 “おい、武田伸三(タケダシンゾウ)、俺だよ、開けてくれ” 聞き覚えのある声だ。 “小野田乃羽(オノダノブ)か?” “あぁ、そうだよ。今ついたから早く開けて” そういや、15月3日に遊ぶ約束してたっけ。 僕が玄関に行き、自動扉を開けると、そこには、頭だけの小野田が立っていた。
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