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「嘗めた口を聞くの……?若造の癖に生意気なっ…!」
「あっ…華凜さんっ!」
私はそっと目を開けると、原身に戻った天華さんが冷たい目で吹き飛ばした二匹を見つめていた。
「ぐぅ……まだ生きていたのですか……」
「いってぇ…大人しく寝てろよな……」
しかし、天華さんの一撃は致命傷にはなっていないらしく、二匹は直ぐに立ち上がる。
「ほぅ…神格に手を奮ったお主ら…命は無いと思え」
「ブワッ……!」
「えっ…きゃぁっ……!」
突然、私は背を向けている天華さんの尻尾に凪ぎ払われ、無造作に貯水タンクのある天華さん達とは少し高さのある所に振り飛ばされる。
「雛はそこで大人しく見ておれ」
天華さんの声はいつもとのわがままな声ではなく、ピリピリと緊張した声だった。
その声に私はうなずくことしかできない。
「そんなに弱い神格なら、簡単に契約狐をいただけそうですね」
「あ…兄貴……!?」
天華さんが『神格』という言葉を出した辺りから白犬は焦り始めているようで、そわそわし始め、黒犬はもう後が引けないと挑発するようなことを言い始める始末。
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