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「ったく…あの妖狐、本気で落雷を落とそうとしてたな…何を考えてるのだか……」
屋上では、だんだんと砂ぼこりが晴れていく……。
そこには、雛と同じ学校制服を着た男の子の姿と、その足元には妖力を使い果たしてもはや只の大型犬になった白黒の妖犬……。
不思議なことに屋上はあれだけ大きな落雷が落ちたと言うのに破壊はただアンテナが折れて、地面のコンクリートが多少えぐれた程度。
「で、君たち大丈夫…?」
「ありがとうございます…『土地神様』」
「いってぇ…綺麗な毛皮が少し焦げちゃったよ……」
二匹とも落雷による大した怪我は無く、小さな火傷や焦げた体毛程度。
そして礼儀正しい、黒犬は丁寧に男の子にお辞儀する。確かに『土地神様』と。
「まぁ、この土地は僕のだからね、こんな大きな争いが起きたら駆けつけなくちゃ
丁度、あの雛ちゃんだっけ…契約狐に気付いてこの学校に入学手続きしてたところだったしね」
「そうでしたか……護っていただきありがとうございました」
「分かったから、早く帰りなさいっ!もうすぐ人が来るからっ!
食べ物に困ったら、神社に来れば少しくらいなら出してあげるから、あの契約狐を食べちゃダメだよ……?」
二匹の妖犬はうなずくと屋上から姿を消した……。
「さて…僕も手続きは終わったし、神社に帰るかな……」
突然屋上一帯に深い霧が立ち込めると、そのまま何か長いものを雲の中へ隠すように男の子は姿を消した……。
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