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「今は誰もいないから言うけど、私に隠しても無駄よ……?雛ちゃんの狐耳と尻尾やそこのソファで寝ている妖狐は見えてるんだから」
「………!?な…なんで見えるんですか……?」
嘘がバレずにほっとした瞬間の保健室の先生の申し出。私は思わず驚いてしまう。
「私も妖怪だからね……まぁ、治癒に長けた水竜よ。学校では池田先生だけど、隠れてね。真名は水蓮(すいれん)よ」
白衣から尻尾を出して尾びれを見せて証明する。
「じゃぁ、貴女も私を食べるつもり……」
「フフっ……雛ちゃんは妖怪からしたら美味しそうだけどね、生徒まで食べたりしないわよ」
舌舐めずりしながら言う様子はなかなか恐ろしいものである。
「おい、水竜。真名を私の雛にあげても大丈夫なのか……?」
突然天華さんが起き上がり、話を聞いていたのか伸びをしながら聞く。
「別に、雛ちゃんなら真名の悪用はしないでしょ
何かあったら食べちゃえばいいし……」
「それは無理だ……お前に喰われるくらいなら、私が雛を喰ってやる」
「もぅっ…二人とも!私を食べるとかで喧嘩しないでよっ!」
『~~♪』
丁度話を区切るかのような放課後の開始のチャイムが鳴る。
「フフっ…雛ちゃんって面白いのね。じゃぁ、放課後になったから帰りなさい
あ、そうそう……そこの妖狐と一緒に土地神に会いに行った方がいいわよ」
「はいはい……今度の休みに行ってやる」
天華さんは適当に返事をすると、出入口の扉を開けてくれとばかりに前に座り、こちらを見る。
「えと、傷を治していただきありがとうございます……失礼しました」
私は礼をいうと、天華さんと一緒に家路についた……。
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