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「いってきまーすっ!」
私は家の人に言うと子狐姿になった天華さんを肩に乗せて外に出る……。
「天華さん…どうやって行くの……?距離は結構あるけど……」
「……もう、雛は全く華凜と呼ばないな……。まぁ、もうどうでもいいが。」
「あっ……」
天華さんはため息をつきながら言う。このため息は情けなさでついているので、自分が恥ずかしくなる。
「真名は本人から授けないと意味が無いからな。少し応用されてしまえば、自分から言うことになるから言いふらされたくないだけだが……雛にには隠すのは無理だな。」
「ごめんなさい……」
「もうよい……私が注意をするからな」
目を合わせてもくれない様子を見ると、少し怒っているのかな……。
「そうか…神社は遠いのか……私が走ればすぐじゃろう……?雛、次の人気の無い路地裏で私に乗れ」
「う…うん」
(……天華さんも話しかけてくれないし、なんだか気まずい……)
チラチラと天華さんを見るが、目を合わせてくれないので路地裏に着くまで、静かに歩き続けるしか無かった……。
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