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「雛、なにか妖怪に見られてる……」
路地裏に隠れて天華さんが初めに発した言葉はそれだった。
「ちっ……雛、逃げるぞ……!」
「て…天華…さん……!?」
妖狐姿になった天華さんは伏せて早くと急かしてくる。
大きな身体の天華さんに乗るのは容易ではなく、時間がかかっていると尻尾で手伝ってもらい、なんとか登ると、しがみつく前に翔び上がるので、落ちそうになってしまう。
「おい雛っ!もたもたせずに方角を教えろっ!」
「えと……あっち……!」
余程慌てているのか、天華さんは声を荒げて叫ぶ。私は何とかしがみつき、方角を言うと直ぐに天華さんが駆け出す……!
「天華さん……速すぎない……!?」
その速度は学校へ送ってもらったときのおよそ二倍くらいの速度だと思う。思いっきりしがみつかないと振り落とされてしまいそうだ。
「私は追われるのは嫌いなんだ。神社の鳥居というものは基本的に弱い妖怪は入れないからな、そこに入ればこちらのものだ。」
天華さんの説明を聞いている内に、もう神社が目の前に……。天華さんは急降下すると、鳥居の中に駆け込んだ……!
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