妖狐と護り神。

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「やっと着いた…」 私は神社までの長い階段を登りきる頃には、くたくたに疲れてしまっていた。 「おお、雛はやっと来たか…。長い道のりご苦労様」 「お…おばあちゃん……こんにちは……」 呼吸を整えるのに夢中で、祖母が近くにいる事に気が付かず、あいさつが遅れてしまった……恥ずかしい………。 そんな私を優しく微笑み許してくれる祖母。 「突然呼んでしまいすまないねぇ……雛じゃないとダメなもんでなぁ…」 祖母はクルリと背を向けると境内へと歩き始めてしまう。私はどういうことかまだ理解することは出来ずに首を傾げながら着いていった……。 そうして、一つの木でできた扉の前にたどり着いた……。 「お……おばあちゃん……ここは…入っちゃだめな場所じゃ……?」 私はこの扉に見覚えがある。小さな頃、この扉を開けようと、手をかけるとなかなか怒らない祖母に怒鳴られた覚えがある。 「開ける時が今だからいいんじゃ……雛がこの扉に手をかけた時から、運命は決まっていたのかもしれんがのぅ… 雛、この扉を開けるんじゃ」 祖母は呟くと、私に道を開けて扉を開けるように促す。 (おばあちゃんが開ければいいのに…なんで私…?) 不思議に思いながら、私は扉を開けた……。
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