妖狐と護り神。

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「カカカ、雛はやはり優しいのっ♪そういう性格は好きじゃ♪」 妖狐さんは安堵したのか、私の肩から手を話すと、岩の上に座る。 よくよく辺りを見渡すと、なぜか扉の先は洞窟のようになっていたようで、無機質な岩と、妖狐さんが寝ていたであろう藁の束しか置いていない質素なもので、何故か扉との境界にお札がたくさん貼られていた……。 「雛…始めていいか……?」 「あっ……は、はいっ!」 突然話しかけられたため、返事が可笑しくなってしまう。 「ったく、一度しか言わんからな。ちゃんと聞いててくれよ……?」 ハァーとため息をつかれてしまうと、妖狐さんの説明が始まった。 妖狐さんは私の家系を代々護り続けていることや、妖狐さんは妖怪の神格だということから始まり、契約を結ぶことにより、本当は介入してはいけない人間への干渉をできるようにすることなど、分かりやすく説明してもらった。 (なんか、違う世界に来たみたい……) 説明を聞き終えた私は現実味のない話になるべくついていこうと反芻する。 「雛…理解するとは後で良いから、契約を始めるぞ」 妖狐さんはいつの間にかまた巨大な狐姿に戻っていて、素早く私と妖狐さんを囲むように陣を書き上げてしまう。
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