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「…~…一応、説明してやるから
泣き止め。」
「………。」
はぁ…とため息をついて
ス…ッと目を細めて言う姿に
涙が…………止まった。
心なしか瞳が紅くなってる…?
「まず、此処はお前達、人間でいう…
“地獄”って所に近いな。
そして俺は死神って所だ。
で、お前は死んでいる…その姿は魂の塊だな…。
それでこの地獄に堕ちる魂が…
問題のある魂。」
「……問題のある魂……?」
地獄…って所にもかなり気になる…
けど、
もう全部が気になる;
「あぁ…お前は
家族全員、そしてクラスの生徒7人、教師2人殺害。
更に手当たり次第に23人、軽傷から重傷を負わせた。
つまり、お前は悪魄だ…
よって此処に堕とされた。
以上。」
「………(゚Д゜)」
殺害?
…………私が?!
「ま、此処に来るまでに記憶が抹消されてるだろうから
本人は何も覚えてないけどな。」
ククッと喉奥で笑う姿…
悪寒がゾクッと鳥肌を立たせる。
「お前の名は…?」
「…………!!;」
蒐が口を歪めて普通の質問をした。
私はそれに答えなかった…
否、
答えられなかった…。
「ぅ、ぁ…?
私……の…名前…?
名前…………?」
空っぽだった。
名前が出てこない…。
それに
家族、過去の記憶…
……全部…
………全部思い出せない……!
気持ち悪い…っ…
意識してなかった事が急に気付かされる事によって
何とも言えない空虚感と
孤独感…
何も思い出せない事が
こんなにも苦しい事だったなんて…。
私は発狂したかの様な悲鳴を上げてから意識を手放した。
「深く…堕ちたのなら目を覚まさない方が幸せかもな…」
蒐が歪んだ表情のままポツリと呟いた台詞は
風で舞う砂音にかき消され
私には届かなかった。
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