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「まぁ、うちの環境が特殊なだけだから」
私があっさりと言うと、
「美保ちゃんが羨ましいよ。家でも勉強を見てくれる人がいるなんて」
「そうかなぁ。」
弘樹くんと私がそんなやり取りをしていると・・・修一は一人教室を出て行った・・・それに気付いたのは純矢だけだった。
―――――――――――――――
「修一、待てよ」
俺は教室から出ていく修一を見て、思わず後を追い掛けていた。だって凄く辛そうな顔をしていたからだ。
「純矢」
修一は俺の呼び掛けに意外そうな顔をして振り返った。
「修一、屋上行こうぜ」
俺はそう言って屋上へ向かうと修一は大人しくついてくる。
屋上に着くと、修一はぼんやりと空を眺めてる。俺はそんな修一に声をかける。
「修一、どうした?」
俺の問いかけに修一は驚きつつも、話し始めた。
「・・・ここ最近、あの光景が多くなってきたろう。なんか見てて良い気がしない」
修一はそれだけを言ってまた口をつぐんでしまう。いつもは沈着冷静できっちりしてるのに、こんなに主語もなく抽象的な話し方をするのは初めてかもしれない。
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