第二幕

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そんなクラスメートの表情を見て、彼は照れたように微笑んだ。 それをきっかけに、少し遅れて鳴り始めた歓迎の拍手。 教師に説明を受け席へ席へ付くと、彼は私の方を向き直し「宜しく」と会釈をした。 私もつられて頭を下げる。 出席を取り終わると、教室を出て行く担任の永山先生が私に声をかけた。 「吉岡! 今日はまだ教科書が無いから、林田君に見せてやれよ。」 先月も言われた言葉。 けれど先月とは確実に違う緊張感があった。 返事はしたものの、机から教科書を出すのも手間取ってしまう。 そうしているうちに彼はそっと机を近付けた。 「ごめんね、時間割さえ解れば明日から持ってくるから。」 申し訳無さそうに私の顔を覗き込む。
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