ヒカリのこども

ﾕﾘｴﾙ･ｼｪｽﾀ

　朝―――。

　新鮮で柔らかな光が街全体に射し込んでいる。

　それは街を見下ろす小高い丘の上に建つ屋敷も例外ではない。

　そして、赤い絨毯が敷きつめられ、見事な調度品で上品に飾り付けられた屋敷の廊下にも朝日は射し込み、きらきらと輝いていた。

　その廊下を今、白い布が被せられた台車を押しながら静かに進む人影が一つ。

　この屋敷の執事の一人、アルト・クロフォードである。

　ツンツンとした髪は見事にセットされ、上品な燕尾服をしっかりと着こなしている。

　朝の凛とした空気を身に包むその姿は、まだ二十代前半の若者にも関わらず、堂々とした威厳を備えていた。

　しかし、その顔は朝の爽やかさに反し、気難しそうに歪められている。
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