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ギルドのロビーの脇にある扉。
この扉を抜けると、そこは職員専用のエリアであり、一般の利用者が立ち入ることはあまりない。
事務所も抜け、静寂に包まれた廊下の進んで行くと、左右に分かれた階段が姿を現す。
右は上りで、左は下り。
ここで下っていけば地下の闘技場へと繋がり、上っていけば、二階に辿り着く。
二階に上ってまず目に付くのが、重厚な造りの大きな樹の扉。
両手開きのそれは、決してきらびやかな訳ではない。
しかしどこか、人を惹きつける不思議な魅力を放っている。
丹念に漆が塗り込まれ、しっとりとした樹独特の光を放つそれは、長年大事に使われてきたことが窺える。
人が繰り返し握ることで擦り剥げてしまった金色の取っ手に手をかけ扉を開けると、そこにはどっしりとした伝統を感じさせる空間が広がっていた。
ギルドのトップに立つ者のための部屋、マスタールーム。
ここにはギルドの歴史を凝縮したかのような存在感をはなっている。
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