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壁際には、重そうな書物がぎっしりと詰まった本棚。
その上の方には、歴代のギルドマスターの写真がずらりと飾られている。大半は年を重ねた老人だが、中にはまだ二十代や三十代に見える人もいた。
床には落ち着いたワインレッドのカーペットが敷き詰められ、入ってすぐの部屋の手前側には豪華だが上品な造りの応接用ソファが一組。
奧には、扉と同様に漆が塗り込まれたオーク素材のガッシリとしたマスターデスクが置かれていた。机にはやや擦り切れた部分があり、こちらも使い込まれた年季を感じる。
大きさは、大人が両手を広げても届かない程の横幅があるが、机上には書類やペン立て、インク、その他諸々の道具などが置かれており、実際に使えるスペースは八歳の子供が両手を軽く広げた程度である。
付随された椅子には飾り彫が施され、ビロードが張られたクッション部分は丁度良い硬さと柔らかさを備えている。
長い時の流れの一端を切り取ったかのような、ゆったりとした空気を持つこの部屋。
しかし突如、その雰囲気を破るように、勢いよく入り口の扉が開かれた。
「まったくもぅ! 信じらんない!!」
足音も高らかに入ってきたのは現在のこの部屋の持ち主、ユリエル・シェスタである。
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