ユリエル・シェスタ

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 遮るものがなくなり自由になった朝日は、ベッドの上にも降り注ぎ、まだ夢と現実のはざまで揺れているこの部屋の主の顔を照らし出す。 「んーー……、ん、んむぅ?  もぅ、あしゃ??」  まだ寝ぼけているのか、部屋の主はむにゃむにゃと舌っ足らずな言葉を発する。  しかし体はもぞもぞと動くばかりで、起き上がる気配はない。 「さようでございます。ユリエル様、早くお目覚めください。お父様が朝食のお席でお待ちですよ」  クロフォードは主に声をかけながら、押してきた台車の上でカチャカチャとお茶の準備を始める。 .
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