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少年は深い緑色のローブを着ているが、そのサイズは少し大きめで、読んでいる本と同様に少し背伸びをしている感があり、見るもの微笑みを誘う。
薄い茶色の髪の毛もフワフワとしていて、鳥の羽根よりも軽そうだ。
そして髪の毛よりも若干濃い色をした、まだ穢れも知らなさそうな大きくクリッとした瞳は、今は真剣に細かな活字を追いかけている。
――――ぱらり。
一定の間隔で読み進められ、めくられていくページたち。
――――ぱら……
カタッ
……………………。
不意に物音がしたような気がして、一瞬、ページをめくる少年の手が止まる。
――――ぱらり。
しかし、何事もなかったかのように、少年は本を読み続ける。
シャッ
今度は物陰から物陰へ、黒い影のようなものが移動するのが見える。
――――ぱらり。
しかし、少年はやはり本を読むことをやめない。
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