夜の図書館

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 少年がいる閲覧室のドアのすぐ向こうの暗い廊下では、大量の黒い影が、中に入り込み少年を襲うタイミングをはかっていた。  ここは神聖な静けさに包まれた図書館。  微かな物音でも暗闇に響き、少年に気づかれてしまう――。  そんな緊張感を持つ背中のひとつを、ふいに、 トントン、と叩かれる。  ドアを囲む集団の一番外側にいた男は、何だこんな時に、と煩わしそうにその手を払う。  するとまた、トントン、と叩かれる。 .
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