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…可愛い。
思わず、そう感じた沖田。
いけないいけない、と頭を振る。
「永倉さんは女好きで、よくこんなことを女性に言ってるんですよ!?」
「ちょ、待て総司。〝可愛い〟は言うが〝好み〟は言わねぇぞ?俺!」
「そんなこと、知りませんよ。怜が、女好きの永倉さんを好いたらどうするんです!?…穢れちゃいますよ!」
「酷ぇ!総司、おまっ、それは酷すぎねぇか?つーか、そいつ怜っつーの?」
「あっ、いけない!永倉さんなんかに怜の名前を教えてしまった!」
「〝なんか〟って何だよ!殴るぞ、てめぇ!!」
「煩ぇぞ!てめぇら!少しは静かにしやがれ!!……狼華、山崎、用意しろ。」
その言葉を聞いた二人は庭に下り、武器を構え始めた。
真っ黒で、明らかに仕事着を着ている山崎。
袴の袖が長くなったような形の、血まみれの服を着た怜。
その光景は、異様だった。
「お?何だ何だ?手合わせか?」
「違いますよ。素質を見るんです。」
「そんな変わらねぇだろ?」
「変わります。本物の武器を使うんですから。」
「…そうかい。」
原田と沖田が話し終わった頃、二人は睨みあっていた。
「内容は、さっき言ったまんまだ。…始め!」
土方の声が響く。
それから、物音一つしない空間になる。
怜は構えると言っても、暗剣を山崎に向けているだけ。
大丈夫なのか?
全員の頭の中に、疑問が浮かんだ。
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