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襖に目を向けながらも、構える。
いつ襲われても良いように。
「そんなに堅くならないで下さい。傷の具合は、大丈夫ですか?」
スッと襖が開けば、そこに居たのは笑顔の男。
一般的に、美形とはコイツのようなことを指すのだろう。
…どうやら、自分の事を心配してくれているらしい。
いらぬことだ。
「あっ!土方さんに知らせないと。ちょっと待ってて下さいね?」
と言うと、バタバタと走っていった。
部屋を見渡す。
隅っこに、自分の鎌が立て掛けてあった。
天井まであと少しという鎌は、真っ黒で深い闇を思わせる。
血が付いてるはずのその鎌は、磨かれており、輝くほどに綺麗で美しかった。
自分の服装はあの時のままで、血がこびりついている。
…臭い。
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