偽物の毛皮

3/8
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
0の愚かな男の始まり ママは言った 逝く前に 病院のベットの上で大量のチューブを外されながら ぽつりと 『あなたは何故わからないの』 って だから答えたんだ 『何が?』 ってね 主語の無い会話は成立させられない 『あなたがわかっていることよ』 『残念だけど僕にはなにもわからないよ』 死ぬ前の戯れ事 『あなたは間違ってるのよ』 『あぁそうだね変わることが無い事実は間違っている』 死にそうなママと違って 僕は死なない 『あなたが願えば必ずっ』 『僕は何も望まないし望めないんだ 15の時には欲望が無かったんだよママ』 『Fool…あなたはいつか崖から堕ちるわ』 『知らないよ』 『知らない事より知ろうとしない事が問題なのよ ピーター…夢から醒めるべきよ』 『…それは無理な話だよママ 僕はピーター…神に選ばれた【愚か者】だからね』 にっこりとわらって心が停止した女を見下ろした 絵本の中のピーターは子供のままでいられたんだ NeverLandで なら大丈夫 ココをNeverLandにすれば問題ないよママ 愚か者の最期の願いは 結局愚かな事でした
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!