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「……………………え……?」
この少女、何と言った?妖魔?私が?
思考が追い付かない。まるでフィルターが掛かったかの様に音が遠ざかる。
自分の心臓の音がいやに大きく聞こえた。
「シキ様…あなた様はルクロディウス様の血を受けました。……妖魔の血を」
レキが話している間ずっと黙っていたファラナはゆっくりと言う。
それが紫希の頭に浸透した途端、彼女は叫んでいた。
「ふざけるな!!!」
何が《妖魔》だ。
何が《宝石持ち》だ!
何が《主》だ!!
「………ルクロディウスって奴、連れてこい」
さっき叫んでいたのが嘘のように静かに言った紫希にぞくりと寒気を感じる二人。
行動に移したのはファラナだった。
「は、はい。今ルクロディウス様に伝えて来ますっ」
そう言うとファラナは紫希の目の前から消えた。
「?!消えた……これも妖術か」
ふと、座り込んでいたレキに気が付く。
「どうしたんだ?」
まるで腰を抜かした様に呆けている。
紫希は手を差し出して立たせた。
「……シキ様………いきなりの《覇気》は反則ですよぉ~」
何やら頬を染め、うっとりとしている。
………何だ、これ。
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