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「ふふふ………くっ…くく…………」
目の前に居るのは長い銀髪を上で纏めている美形な男だった。
何故か来た時から……いや、来る前から笑いを堪えていた。
「何がおかしい?」
紫希はいらいらしながら問う。
「いや、な。………この私を………くくく……呼び出すとは………くはっ、は、もう駄目だ!ふはっ…ははははは……」
…………何がおかしいんだ。
色男が涙を滲ませながら腹を抱えて笑っている。
ファラナは戸惑い、ルクロディウスと紫希を交互に見る。
レキはそんな三人をにこにこと見ている。
「………まだ、聞いてない事がある。私を妖魔にした訳は何?《宝石持ち》だから?」
苛立ちを隠さずに話す紫希に、ルクロディウスはまだ笑いが収まらない様だがはっきりと答えた。
「ふふ…いや、《宝石持ち》は確かに珍しいが、それだけでわざわざお前を妖魔にはしない。お前…シキと言ったか。シキ、これはもう決定事項だ。お前は私の娘となった。お前は私の跡を継ぎ、妖魔の主となるのだ」
にこやかにとんでもない事を言う。
「は…あ、主って……さっきも聞いたけど妖魔の中の主って事だったのか?と言うことは、お前が妖魔の今の主?跡を継ぐ…私が?どうしてそうなる!」
訳が分からない。混乱している。多分今私が言った台詞はめちゃくちゃだろう。だが正直脳がうまく働かない。
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