人間

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その日は朝から具合が悪かった。 何だか風邪を引いたみたいで熱もあった。 学校はなんとか終わったが、これから本屋でのバイトがある。 大きい店ではなく、売っている本も漫画などはあまりない。 かわりにかなりマイナーな物が揃えられている。 『黒魔術初級編』 『悪魔と天使』 『この世界の表と裏』 『妖怪辞典』 …オカルトだ。 まあ私は何の偏見もないから別にどうという事もない。   いつも客なんて一日に3~4人。 何故経営出来ているのか謎である。 そんなバイト先だからとりあえず行くことにした。 適当にレジ奥に座っていればすぐ終わるだろう。 「紫希(シキ)ちゃん、具合悪そうだね。今日のバイトはいいからお家に帰んなさい」 店長だ。 64歳のおじいちゃん。実は小さい頃からこのおじいちゃんに世話になっていた。 昔から本を読むのが好きだったから、この本屋にしょっちゅう来ていたのだ。 他の本屋には無いような本が置いてあって、小さい頃の私は片っ端から読んでいた気がする。  
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