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――――――――――
「……………つまりは全て偶然――って事、か……」
紫希は拳を握った。
色々な感情を込めた。
血が滲むほど握り締めていると、ファラナがそっと上から握ってきた。
彼女の方へと視線を向ける。
………ファラナは悲しそうに紫希を見ていた。
「お嫌…ですか?妖魔になって生きるのは」
紫希は力無く頭を横に振る。
なんとなく、力が抜けた。
「分からないよ………死にそうだったのを助けてくれたのは理解した…でもいきなり妖魔だなんて………それも妖魔の王………私はそんな地位なんて要らない………私には無理だ」
壁に寄りかかり、ズルズルと崩れ落ちる。
眼からは涙がボロボロとこぼれ落ちていく。
「…ごめん………暫く独りにさせてくれ……………」
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