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「何か用か?」
「一度、家に帰りたい」
ここで『帰す訳にはいかない』などと言われたら仕方ない。抜け出してでも帰るつもりだった。
しかし
「そうか、ではファラナを連れていけ。道案内をさせよう」
あっさりと許可が下りた。
意外に思っていると、ルクロディウスはニヤリと笑う。
「何でだ―って顔をしているな。……まあ、帰れば分かるだろう………」
あの笑いが気になる。
取り敢えず許可が下りたので紫希はほっとした。
「……ファラナ」
「はい、何でしょうシキ様」
試しにこの場に居ないはずのファラナを呼んでみると、予想通り後ろから返事がした………。
「なんだこれ?!」
帰る前に、三年分の汚れを落とすために風呂に入り、すっきりしたところでさあ着替えようと用意してあった服を見てみると………
「…私までこのコスプレ服か…………」
慣れない服に四苦八苦しながらやっと着替え終わり部屋に戻ると
「きゃーっ!シキ様格好良いです!」
黄色い悲鳴が襲った。
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