帰郷

5/13
前へ
/44ページ
次へ
「こんな服似合うはず無いだろ……」 紫希は抱きついてきたレキを支えながら溜め息を吐く。 彼女が着ていたのはまるでどこかの貴族風の衣装だった。 「そんな事在りませんよぉ!シキ様のその美しい御髪とお顔によく似合いますっ!」 「いや、私はごく普通の…………?!」 部屋の隅にあった鏡が目に入る。 恐らく自分であろう姿が映っていた……のだが。 「な…ななな何だよこれ!」 走って鏡の前まで行き、がしっと掴む。 じっくりと自分の姿を眺めるが… 「何だこの髪、この眼……………」 元々の紫希の容姿は中の中。髪は茶色に近い黒で短めのものだった。 しかし今鏡に映る姿は… 髪は輝く銀髪、瞳は深い紫。寝ている間に伸びたのか、長さは腰ぐらいまであった。 そしてなぜか顔は三割り増しぐらい綺麗になっていた。  
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

238人が本棚に入れています
本棚に追加