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妖魔として生きると決めたシキはひとまず城へと帰還した。
取り敢えず妖魔としての生活は基本自由らしく、何かを強制されることはなかった。
しかしやはり妖魔の次期王としては立ち居振る舞いや、妖術を完璧にものにしろと言われ、晴れて教育係となったファラナに色々と教わる事になった。
目を閉じ、手を前に突き出して大きく息を吸う。
ゆっくり吐き出す息と共にシキの目の前は紫色に染められる。
「――――っく!………………………………………………………出来たあぁぁあ!」
ファラナに指摘を受けながら練習するシキ。多少手こずるも、目の前には薄い紫色の霧がしっかりと立ちこめていた。
荒くなった息を整えながらシキは嬉しそうにファラナへと向き直る。
「良く出来ましたね。これが“妖術”です」
満足そうにファラナは微笑んだ。
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