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地下3階に着いた所で、案内に『研究室』と書かれていた。
ここの周りだけ警備兵がいないのは変だと悠は思った。
地下1階、2階では警備兵を確認した。しかし地下3階に限っては1人もいない。
「怪しい…」
悠は呟きながら研究室内に入る。
「!!」
悠は目を疑った。
そこにあるのが信じられなかった。
そこにあるのは見渡す限りの人、人、人。
しかしそれらの人は少しずつ、普通とは違った。ドロドロになり、原型を留めていなかったり、足が2足である以外人との共通点が見当たらないものもいた…。
気持ち悪くなりながらも、悠は配電盤を探す。それを爆破すれば研究室を吹き飛ばした後、照明が落ちて脱出しやすくなるからだ。
…見つけた。悠が配電盤に爆薬を設置しようとすると…
「そこまでだ!この子鼠め!!」
大きな声に作業を遮られる。
振り向くとそこには小太りのオッサンと10人以上の警備員。
「侵入者め。ワシの研究を見られたからには生かしてはおけん」
と言ってくる。悠は一応とぼけてみる。
「どうしたのですかトルネオ様。私はただ研究室の装置の調子がおかしいのでチェックしに来ただけですが?」
「とぼけても無駄だ。このフロアの警備は全て小型CCDカメラで行っている。人間が入って来ている時点でソイツは侵入者なのだよ」
トルネオは勝ち誇ったように言う。
なるほど。この階に警備員は立ち寄らないのだからここにいる僕は不審者ということか。
「やれ!!」
トルネオが指示すると10人以上の警備兵がゆっくりと悠を取り囲む。
しかし悠は余裕の顔を崩さない。ヒュッっと息を吐いた後に剣や体術を駆使し一瞬で警備兵をねじ伏せた。
「な、何者だ!?貴様は?」
今度は慌てた素振りで聞くトルネオ。忙しいヤツだ。
「ガーディアン」
短絡的に答え、
「トルネオ、お前を逮捕し国際警察に引き渡す!」
目的を告げ、悠はトルネオに向かって駆け出した。
ヒュッ…
「!!」
悠は突如、トルネオの後ろから飛来するナイフをとっさにかわした。
「な…」
悠は思わず声を漏らす。
ナイフを投げてきたのは、昼間助けたあの少女だったのだから。
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