360人が本棚に入れています
本棚に追加
「おお!アリス。助けてくれたのか!」
とトルネオが今度は嬉しそうに叫んだ。
悠は聞いた。
「その子はなんだ?」
「この子か?コイツは人身売買の取引をしていた時に高値で買い取ったんだ。愛玩用にと思ったが以外にも戦闘能力が高くてね。近くに置いているのだよ。」
といいガハハ!とトルネオは笑った。
反吐が出る…!悠は憤った。
「行け!アリス!」
とトルネオが言うとアリスと呼ばれた少女はナイフを構えたままこちらに突っ込んでくる。
まずい。構え、動き共にプロのそれだ。
少女の突進を交わしトルネオに再度突っ込もうとすると今度も少女に阻まれた。
…どうしよう。悠は焦った。
トルネオをねじ伏せるのは訳無いがあのアリスとかいう子はホントに厄介だ。
戦いづらい。女の子だし。
悠は賭けに出た。
「アリスちゃん!僕とお話しない!?」
と叫ぶと、
アリスは止まった。
「何…?」
アリスは不思議そいな顔をして近づいてくる。
敵意は感じられない。というかこの子からは最初から敵意が感じられない。命令だから仕方なくって感じがした。
ここで選択を間違えるな…!!と悠は心の中で自分に言い聞かせる。
「えっ…と。今日はいい天気だね!」
ミスった…。
「…ここは地下…しかも今は夜中。」
冷静な突っ込みがアリスから入る。
穴があったら入りたい気分だ。
「え、えと…あの…その…!」
と慌てるが悠は言葉が出ない。う~む。絶体絶命。すると、
「フフっ…」
と悠の目の前から笑い声。
アリスが笑っているのだ。
「あなたは…面白くて…イイ人。」
「………………。」
コレは、成功なのか?
悠の頭はまだ混乱している。
「おい!何してる!?さっさとソイツを捕まえろ!」と怒声が聞こえるが今は外野は無視。
アリスは続けた。
「おじ様のしていることは、悪いことなの?」と。
「ああ。とても悪いことだよ。」と悠は返す。
「そう…。」
と寂しそうに呟くとアリスはトルネオの所まで歩いて行き、
「おじ様、今までありがとうございました。」
と言い、ペコリと頭を下げた。
そして悠の所まで歩いて来て、服の袖を掴んで、後は黙ってしまった。
「勝負あり…かな?」
悠は呆然としているトルネオの所まで行き、一発殴って気絶させ、手錠をかけた。
最初のコメントを投稿しよう!