走り出すまで後、5秒

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うっとい英語の時間が終わって、やっと放課後。 俺は部活…と言うより、早く謙也くんに逢いたくて、そわそわしながら支度した――。 「謙也くん」 「お!財前!」 コートにつくと既にジャージ姿の謙也くんがおった。 「さっきの走り、格好良かったやろ!」 ニカッっと笑って駆け寄ってくる謙也くん。 「まぁまぁっスわ、調子乗らんで下さい」 「何やと!?」 二人でいつものようにじゃれあう。 これだけで幸せを感じるなんて、どんだけ俺の頭は平和ボケしとんねん。 笑いながら二人で話しこんでいるとベンチの方から声が響いた。 「謙也ー!次は銀とダブルスやでー!!」 大声で白石部長は石田先輩を連れてきながら謙也くんを呼んだ。 「おんー!!すぐ行くわー!浪速のスピーd「はいはい」最後まで言わせてや!!」 二人の言い合いに周りは笑っとる。 何がそんなにオモロイん? つか、あの絶頂男……わざとやろ…。 チッと俺は小さく舌打ちした。 「ん、それじゃ俺行ってくるわ!!」 そう言って謙也くんは俺の頭をグシャグシャと掻き回した。 「ちょっ!ウザいっスわ、謙也くん」 『せっかく朝セットしたんに…』なんて言って何時もの態度をとる……ヤバい、頭撫でられるだけで心臓バクバクなんやけど… 頭から温もりが離れて、隣のコートへ向かう謙也くんの後ろ姿を見つめる。 ホントは行かないでほしい…なんて俺のキャラやないし 「早く行ったらええっスわ」 って、いつものように生意気な後輩で送り出す。 俺やって人間なんやから笑ったり泣いたり怒ったり…寂しいと感じたりする。 好きな人になら尚更や。
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