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うっとい英語の時間が終わって、やっと放課後。
俺は部活…と言うより、早く謙也くんに逢いたくて、そわそわしながら支度した――。
「謙也くん」
「お!財前!」
コートにつくと既にジャージ姿の謙也くんがおった。
「さっきの走り、格好良かったやろ!」
ニカッっと笑って駆け寄ってくる謙也くん。
「まぁまぁっスわ、調子乗らんで下さい」
「何やと!?」
二人でいつものようにじゃれあう。
これだけで幸せを感じるなんて、どんだけ俺の頭は平和ボケしとんねん。
笑いながら二人で話しこんでいるとベンチの方から声が響いた。
「謙也ー!次は銀とダブルスやでー!!」
大声で白石部長は石田先輩を連れてきながら謙也くんを呼んだ。
「おんー!!すぐ行くわー!浪速のスピーd「はいはい」最後まで言わせてや!!」
二人の言い合いに周りは笑っとる。
何がそんなにオモロイん?
つか、あの絶頂男……わざとやろ…。
チッと俺は小さく舌打ちした。
「ん、それじゃ俺行ってくるわ!!」
そう言って謙也くんは俺の頭をグシャグシャと掻き回した。
「ちょっ!ウザいっスわ、謙也くん」
『せっかく朝セットしたんに…』なんて言って何時もの態度をとる……ヤバい、頭撫でられるだけで心臓バクバクなんやけど…
頭から温もりが離れて、隣のコートへ向かう謙也くんの後ろ姿を見つめる。
ホントは行かないでほしい…なんて俺のキャラやないし
「早く行ったらええっスわ」
って、いつものように生意気な後輩で送り出す。
俺やって人間なんやから笑ったり泣いたり怒ったり…寂しいと感じたりする。
好きな人になら尚更や。
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