始まりはここから

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気づいたら外は夜になっていた ふらりと窓側に立って、月夜を眺める政宗 その後ろ姿は哀愁がただよっていた 遠い見知らぬ地に1人 あの戦場にいた事すら幻にすら思える静かさ しかし気持ちは不思議と落ち着いていた 『茶でもどうだ』 かずきは政宗の隣に座り、お茶を置いた 『すまぬな…』 『気にするな』 茶を飲みながら、かずきも月夜を見上げる 『さびしいか?』 『えっ?』 かずきの問いかけに驚く政宗 『こんな見ず知らずの場所に1人…そんな気持ちにもなるだろ』 『寂しくないと言えば嘘になるな…』 『大丈夫だ』 『どういう…』 『元にいた場所に帰れるかわかんないが、それまでは俺が傍にいてやる』 『なっ!』 『だから安心しろ』 笑顔を政宗に残して、その場を離れようとするかずき 『待て!』 『んっ?』 呼び止められて振り向くかずき 『…つなだ』 『なんて?』 『刹那(せつな)だ!私の大切な名前だ…以後はそれで呼ぶがよい』 『はいよ…主の仰せのままに』 再び歩きだしたかずき かずきと刹那の物語はまだ始まったばかり…
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