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芽衣は心の中に沢山の質問が浮かびました。 『この不思議の国には、足りないものがありました。それはアリス。だから自分は貴女をこの世界に呼んだ…アリスとして』 また、フードの青年の口からアリスと言う言葉がこぼれた。 「どうしたら元の世界に帰れるの?」 『そうですねーアリスになってくれたら帰れるかもしれませんよ?』 「………アリス」 芽衣は腕を組み考え始めた。 (どうもアリスはこの不思議の国…だっけ?において相当重要な位置にあるものなのね。けれど、今この国にはアリスがいない。だからアタシにそれになれってことか…でも、だからって…) 「アタシはそんなものに費やしている時間はないの!」 『嗚呼、ツれない。なんてツれないお方。』 「ずいぶんな言い方ね。一方的に連れ出しておいて、アリスになれですって?はい、そうですか。何て返すワケないでしょ!!」 『それは困りますね』 「勝手に困ってなさいよ!」 芽衣の口調はどんどん荒くなり、フードの青年は大きなため息をつきこう言いました。 『でも、貴女に断る権利はない』 「は?」 『貴女に断る権利はない。貴女は、元の世界に帰ることを望まなくなる。なぜなら、此処に居れば貴女のある願いが叶えられるから』 「願い?」 『はい。』 芽衣はフードの青年の発言に対し鼻で笑った。 「そうね、今のアタシに願いなんてものがあるとしたら元の世界に帰ることね!」 『自分が言いたいことはそう言うことじゃありません。貴女が元いた世界で貴女がひそかに思っていたことのことです。それは…人を殺したい。そんな、とてもとても歪んだ感情』 フードの青年がそう言った瞬間、芽衣は目を大きく見開きました。 「な、んで……そんな、でたらめ…」 『おや?でたらめなどでしたら何でそんなに驚く必要があるんですか?』 フードの青年は、一歩また一歩と芽衣に歩み寄りました。 芽衣は視線を落としたまま何もしませんでした。フードの青年は、芽衣のすぐ傍まで寄ると彼女の耳元で呟きました。
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