カブトムシ

5/12

78人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
あれから章大は 急激に容態が悪化していった。 章大が日に日に弱って来ているのは私でもわかった。 けど章大は 絶対に弱音を吐かなかった。 「愛子 ゴホッ お腹とかすかへん?ゴホッゴホッ 冷蔵庫のもの てきっ とうに ゴホッ 食べてや^^」 『章大…』 「俺に構わんと ゴホッ やりたいこと やったらええっ んや で? 」 何でそうなん…? 何でいっつも笑ってんの…? もう… 強がらんでええやんか…。 『…で…ん?』 「え?」 『何で強がんのよ…っ』 ガバッ 病室のベッドで寝ている章大に思いっきり抱きついた。 『何で強がんの!? 何で笑ってんの!? なぁっ… 何で私の前でも無理すんの!? グスッ』 「愛子、僕はそんなつもりと…」 『じゃあ何なんよぉっ… そんな辛そうな笑顔見せて そんなつもりじゃ とか! もう…無理せんでや…。 私の前では、弱さ見せてええねんで…?」 言い終わった後、 章大と目が合った。 章大の目は 真っ赤になってた。 「僕っ… もっと生きたいっ もっと生きてっ もっと愛子と一緒に笑い合いたいっ…。 まだまだやりたいこといっぱいあんねんっ 愛子と結婚して いつか生まれてくる子供と3人で仲良く暮らしてなっ…」 『うんうんっ…』 「僕…死にたない…っ」 私は涙が止まらなかった。 章大を抱き締めながら言い聞かせるように言った。 『大丈夫っ 大丈夫やで?章大は絶対死なへんよ…っ!!章大は絶対幸せになるねんっ!』 「愛子っ…」
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加