カブトムシ

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アタシは 大好きな人の最後も見送れへんかった。 『ほんまにサイテーやアタシ…ごめんな章大…こんなしょーもない女で』 そう言いながら近くのイスに座った。 ボイスレコーダーを見る。 なんか入ってんねやろか…? アタシは少し怖いながらボイスレコーダーの再生ボタンを押した。 【ごほん。えーっとー…】 目から熱いものが溢れ出そうになった。 ボイスレコーダーに録音されていた声は 紛れもない。 アタシの最愛の人 章大の声やった。 【愛子ー?聞こえてるー?愛子がこの声を聞いてる頃は、もう僕はいいひんやろな… って、なーんかベタなこといってしもた;はずかしーっ!】 『ふふ^^』 可愛い声で言う章大に少し笑ってしまった。 【あんな?愛子につたえておきたいことがあんねん。 まず、ごめんなさい。 僕が病気のせいで、愛子には色んな辛い思いさせてきた。ほんまにごめん。 それから、ありがとう。いつもお見舞い来てくれて 僕が弱音吐いてたときに励ましてくれてくれて そばでずっと笑っててくれて 隣りにいてくれて ほんまにありがとう。 僕、幸せやったよ? そりゃあ、もっと生きて、もっと愛子と一緒にいたかったけど、 もう後悔はない。 胸はって幸せな人生やったって言える。 それは、愛子がいてくれたおかげなんやで? 愛子は目の前に何が見える? 思い出? 不安? 今日の晩ご飯?(笑) 今愛子が見てるものが何にせよ、僕は愛子を見てるから。 ずーっとずーっと見てるから。 愛子はため込みやすいとこあるから、一人で抱え込んだらアカンで! あと髪の毛はショートがよう似合てる! それからっ 笑って? 僕の大好きな愛子。 これからもたくさん恋をして、色んな経験をして、素敵なレディになってな! でもたまには僕のこと思い出してや~ えー 最後に。 僕、安田章大は 篠原愛子がいてくれて 最高に幸せでした。 ずっと大好きです。 んじゃ また会ったときは、よろしゅうな~】
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