旅立ち

2/4

78人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
―間もなく電車が到着します。黄色い線まで下がってお待ちください― 「もう行くんか?」 『…うん^^』 「そっか…」 明け方のホームには俺と君以外だれもいいひん。 君は今日旅立つ。 自分の夢を追いかけるために。 君には夢をかなえてほしいから 絶対泣かへんって決めてたのに…。 「…別に俺泣いてへんからな!俺絶対止めへんで!悲しくないからな!」 『え?;』 俺何言うてんねん… 最悪やん…。 笑顔で送るって決めてたのに… 頑張ってこいって言うはずやったのに…。 『亮…?』 「なっやねん…。」 俺今めっちゃかっこわるいやん…。 『笑って^^?』 わかってる…。 わかってんねん…。 けどなんやろ… 涙止まらへんねんっ…。 「…っ笑ってるわボケ…!」 言葉とは裏腹に 俺は思いっきり君を抱き締めた。 泣いてるとこなんか見せたない。 『亮…』 遠くで電車が来る音が聞こえた。 こういう時ぐらい 素直にならな。 深呼吸。 「俺、俺な、まだまだ子供やから本間はめっちゃ悲しいし、行くなって言いたい。けど、お前の夢やから…俺応援するから…。だからっ!だからなっ?」 『うんうん』 分けわからへん俺の言葉を、君は一つ一つ聞いてくれた。 抱き締めていた腕をほどいて君の目を見る。 君が夢を追いかけるなら、 今出来る精一杯の笑顔で言おう。 「頑張って来い!^^」 『うんっ!』 俺は君に触れるだけのキスをした。 気がつけばもう電車が来ていた。 「途中で諦めたりしたらほんましばくで!」 『分かってるわ!』 そう言いながら君は電車に乗り込んだ。 「…バイバイとか言わへんし」 『うん』 最後までこんなことしか言えん俺でゴメンな…。 プシューッ 音をたててドアがしまった。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加