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―間もなく電車が到着します。黄色い線まで下がってお待ちください―
「もう行くんか?」
『…うん^^』
「そっか…」
明け方のホームには俺と君以外だれもいいひん。
君は今日旅立つ。
自分の夢を追いかけるために。
君には夢をかなえてほしいから
絶対泣かへんって決めてたのに…。
「…別に俺泣いてへんからな!俺絶対止めへんで!悲しくないからな!」
『え?;』
俺何言うてんねん…
最悪やん…。
笑顔で送るって決めてたのに…
頑張ってこいって言うはずやったのに…。
『亮…?』
「なっやねん…。」
俺今めっちゃかっこわるいやん…。
『笑って^^?』
わかってる…。
わかってんねん…。
けどなんやろ…
涙止まらへんねんっ…。
「…っ笑ってるわボケ…!」
言葉とは裏腹に
俺は思いっきり君を抱き締めた。
泣いてるとこなんか見せたない。
『亮…』
遠くで電車が来る音が聞こえた。
こういう時ぐらい
素直にならな。
深呼吸。
「俺、俺な、まだまだ子供やから本間はめっちゃ悲しいし、行くなって言いたい。けど、お前の夢やから…俺応援するから…。だからっ!だからなっ?」
『うんうん』
分けわからへん俺の言葉を、君は一つ一つ聞いてくれた。
抱き締めていた腕をほどいて君の目を見る。
君が夢を追いかけるなら、
今出来る精一杯の笑顔で言おう。
「頑張って来い!^^」
『うんっ!』
俺は君に触れるだけのキスをした。
気がつけばもう電車が来ていた。
「途中で諦めたりしたらほんましばくで!」
『分かってるわ!』
そう言いながら君は電車に乗り込んだ。
「…バイバイとか言わへんし」
『うん』
最後までこんなことしか言えん俺でゴメンな…。
プシューッ
音をたててドアがしまった。
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