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「ねぇねぇ。私見ちゃったんだけど」
「……何を」
何故か佳美と付き合っている事になってしまった上に、莉子と啓太の情事を目撃してしまった千秋。
あの日から、ニ週間余りが過ぎようとしていた。
今のところおかしな噂こそ立ってはいないが、どんなに説明しても生徒会メンバー達の誤解は解けないまま。
莉子にはあからさまに避けられ、何かにつけては彼女と啓太の抱き合う姿が目の前をチラつく。
莉子を捕まえ、何とか話をしようとすれば、タイミング良く啓太か佳美が二人の間に割り込んでくる。
だからと言って、莉子について啓太と直接的に話をする気に等なれるはずも無く、千秋は悶々とした日々を過ごしていた。
そんな連休明けのある日。
啓太から生徒会室で書類の整理を押し付けられていたた千秋の元に、満面の笑みを讃えた佳美がやって来た。
その表情とは裏腹に声を潜める佳美は、黙々と作業を進める千秋の背中に向かって何かいけないものでも見てしまったかのように小声で囁きかける。
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