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* * *
その翌日の放課後。
莉子と佳美は、廊下でばったりと出くわしていた。
「あーと……」
「ね。莉子ちゃん、藤村先生と付き合ってるの?」
昨日の一件が未だ尾を引き、気まずさが抜けきれず不自然に視線を游がす莉子に対し、佳美は先制パンチをしかける如く単刀直入に質問を投げかける。
その質問に一瞬心臓が飛び出そうになった莉子だが、何とかその場を誤魔化そうと別の話題を引き合いに出す為、必死に頭を巡らせた。
「え? そ、そんな事より! 昨日はごめんね。私、邪魔だったよね?」
「え? あぁ、うん」
「あはは……はっきり言うわね……」
しかし、別の話題と言っても結局二人に共通するのは千秋と佳美の昨日の一件についてでしかないのが事実。
例え社交辞令でも否定の言葉が返って来るかと思いきや、あっさりと肯定の意を返された事に莉子の顔には苦笑いが浮かんだ。
「あの……向井さんて、本当に倉田君と……?」
と、同時に昨日からどうしても気になって仕方の無かった想いが自然と彼女の口を吐いて出ていく。
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