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「何? その返事。乗り気じゃないなぁ」
「だって、こんなの人に話すような事じゃないじゃない」
ため息を吐く佳美に、誰かにこの話を聞かれているのではないかと気が気ではなく、周囲を不自然な動作でキョロキョロと見回す莉子。
幸い、二人の声の聞こえるであろう範囲内に人影は見当たらず、それだけが莉子の気持ちを唯一ホッとさせる。
が、そんな状況が逆に災いしたのか、佳美の口からとんでもない発言が飛び出した。
「またまたぁ。そんな事言って、本当はラブラブなんでしょ? ねね、もうエッチした?」
「はいっ!?」
「あはははっ。顔真っ赤。莉子ちゃん可愛いなぁ」
「かっ、からかわないでよ……」
いきなりそんな深い所をさぐされるとは夢にも思わず、驚きの余りただただ目を丸くして悲鳴にも似たすっとんきょうな声を上げる莉子に、佳美は両手を叩いて大笑いする。
一方で、彼女の言う通り耳まで真っ赤になった顔を隠すように俯きながら、莉子は力無く肩を落とした。
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