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「でもあんな顔と声でさ、エッチの時に色々囁かれたりしたら……それだけでもうイッちゃいそうだよね? あ、そうだ。先生って、ベッドの中でもあんな感じなの?」
恐らく彼女の中にある好奇心に、底と呼べる物は無いのだろう。
佳美はまたしても莉子の心臓を抉り取るように、鋭い刃物にも似た質問を平気で投げかける。
「ベッ……? イッ……!?」
瞬間、つい先日その身で味わったばかりの啓太の肌の感触と、普段の彼とは違う艶っぽい声音が思い出される。
そんな莉子の口から出てくるのは、まともな返事どころか声にすらならない、ただの音のような物でしかなかった。
「あーあ。私も千秋と、莉子ちゃん達みたいな事してみたーい」
質問の鋭さとは逆に、佳美の顔に浮かぶ表情はまるで恋に恋している幼い少女のそれで、勢いよく天井を仰ぐ彼女は、莉子に聞かせるように大袈裟に呟いてみせる。
「え……だって向井さんと倉田君……」
その言葉の意図が直ぐには掴めなかったのか、いちいち聞き返してくる莉子に向き直った佳美の頬は、不服そうに大きく膨らんでいた。
次いで子供のする様に両腕で胸の前にバツの形を作ると、ジト目で莉子を見やり口先を尖らせる。
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