月ノ無イ夜

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「クッソ!! 無理だ!!! 耐え切れないぞ!!」 “第二班 弾薬ゼロです!!!” 「隊長!! これ以上は無理です!! 一度撤退しましょう!!!」 辺りは 妙に静かに聞こえた。 鳴り響く銃声 機関砲の音 岩の砕ける音 肉が燃える音 肉体の引きちぎられる音 どれも 耳によく入らなかった。 まるで 何処か遠くから聞こえて来るようであった。 見えるのは 血 血 血 血 皆頬が赤く染まり 軍服には黒くシミが付いた。 叫んでいる。 戦っている。 “第四班 弾薬ゼロ!!!” 突然 真横のスピーカーから聞こえた知らせ 意識が 現実に引き戻されていく。 辺りは 音の嵐のようであった。
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