第0章

3/3
前へ
/16ページ
次へ
-----とある暖かい日----- 冬の寒さなど遠い過去のように、暖かくて優しい春の風が吹く天気の良い日だった。 「じゃあな里真…母さんと仲良くやるんだよ」 『いやだよ、いや。私ここに残る。皆ともっと、もっといたいよ…一人でもなんでもいいから、だからここに居させて!!もう、何もわがままいわないから、ねぇ、ねえ!!』 「もうあんたと顔をあわすことはないわ…色々ありがとうね。里真はまだまだこれから…私が責任をもって育てるわ。じゃあ」 『いや!!離して、いやだ、いやだいやだ、離してええ!!!!』 「里真、お前の幸せを願っているよ。元気でな」 『父さん!!!』 手を伸ばしてももう届かない どんどん遠ざかっていく 父さん…私の幸せを願っているなら私の腕を掴む母さんの手を離させて ここに、居たいよ… 大切な友達を残し、私は母さんと産まれてからずっと居たこの町を離れた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

164人が本棚に入れています
本棚に追加