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「勝っちゃん大変だ。悪徳セミナーが先輩で合宿らしい。行くぞ。」
話は数日前に遡る。
四月も下旬となり、もう幾ばく寝ればゴールデンウイークと鼻歌を歌いたくなる様な日の放課後、授業終了後真っ先に下校した筈のかのんが教室まで帰ってきて、自分の席で気持ち良く睡眠中の僕に対し要点の掴めない下手くそな日本語をぶつけてきた。
「……何が言いたいんだお前は。もっと丁寧に話せ。」
「丁寧に?丁寧にだな。……よーし善処しよう。……えっと、『勝っちゃん殿、大変でござる。悪徳セミナーが先輩で合宿なので候。いざ、参ろうぞ。』」
「丁寧語で言った!?」
しかも忍者風に。
かのん忍者。忍耐の足りなそうな忍びだ。
「って違うぞかのん。僕が言いたいのはそういう事じゃない。最初から何が起こったのかを懇切丁寧に話せと言ってるんだ。」
するとかのんはウーンと腕を組ながら頭を一捻りし。
「仕方ない。勝っちゃんがそこまで言うのであれば少々骨の折れる作業ではあるが努力しよう。……あれは私が出生した時の話だ。私は母上のお腹の中から出てくるなり、産声代わりにこう言ったそうだ。『三千世界唯我独尊』と-」
「お前の人生が訊きたい訳じゃない!」
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