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どうやらこの幼女とかのんは知己のようだ。
「…美桜。しかし-」
「良いの。もう大丈夫だから。それに-」
と。そこで幼女、もとい美桜ちゃんは僕とかのんを交互に見渡し、苦笑した。
「飛我君が危ないし。」
「えっ?」
振り返るとかのんが頭上に高々と学習机を掲げていた。
「二年D組、声優坂美桜です。宜しくお願いします。」
と、美桜ちゃんがその名に名前負けしないいじらしいソプラノであいさつをした。
「かのんちゃんとは体育の合同授業で知り合って以来、仲良くさせて頂いてます-かのんちゃんは運動神経抜群でみんなの人気者なのに、私みたいな運動音痴の事も面倒見てくれて、とっても優しいんですよ。」
「ねっ、かのんちゃん」と、かのんへ微笑み美桜ちゃん。どうやらかのんの事を相当慕っているようだ。
かのんは奇天烈な思考の持ち主の癖して妙に人望がある。
生来の美貌に、その姉御肌な気質も相俟って男女問わず非常に慕われるのだ。
まぁ根は来るもの拒まずの博愛主義者だ。自然と人が集まってくるのだろう。
「えっと。じゃあ僕も自己紹介を。僕の名前は-」
「あぁ、存じてます!飛我忠勝君ですよね。」
と答える美桜ちゃん。彼女の方は僕の事を知っていてくれたらしい。
そういえばさっきも僕の名前を呼んでいた事を思い出す。
「良く僕なんかの事知ってたね。自分でいうのもなんだけどかのんと違って目立たない地味な奴だし。」
「そんな事ありません。飛我君は有名人さんですよ。大評判ですよ。女子はみんな飛我君の事を知っています。」
と美桜ちゃんは断言した。
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