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以下は美桜ちゃんが僕達に語ってくれた、事のあらましだ。
春休みの事である。如月ヶ丘はある一つの挫折を味わった。
その挫折とは俗に言う、失恋というやつだ。
相手は彼女が中学の時から想いを寄せていた同級生。彼女が僕やかのんなんかが受かる様な綾神高校に入学したのも、彼と同じ高校へ通うためだったそうだ。
意を決し、数年来の想いを伝えた彼女の告白は、しかし見事に砕かれた。
さらにその別れ際、彼が如月ヶ丘先輩へ放った一言が才女を-
「-君さぁ。」
"つまんないんだよね"
-壊した。
自己を。
数多の才能を極めたその自己を。
彼女の存在意義を。
大好きだった人に。
否定された。
ひていされた。
ヒ テ イ サ レ タ
挫折を知らない彼女の心はその否定に耐えられず-悲哀、苦痛、絶望、後悔、狂乱、憎悪、喪失-幾多の感情が如月ヶ丘先輩の心を容赦なく襲った。
そして、その隙が才女、如月ヶ丘潤の心に、
悪魔の侵入を許したのだ。
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